
大学3年生の夏休み、僕は2ヶ月くらいオーストラリアに滞在していました。パースからシドニーまで、自転車で大陸を横断するという、今思えばとても無謀な旅をしたのです。なんでそんなことをしようと思ったのか、思い返してみてもよく分かりません。大学3年生の夏休みで、それが終われば就職活動を始めなくては、というタイミングだったので、何でもいいから学生っぽい、というか若者っぽいことをしておきたかったのかもしれません。それが自転車の旅というのは、何というかかなり安直だったように思いますが、当時の僕にとっては非常に素晴らしいアイデアに思えたのです。また、とても勇気のいることでもありました。海外旅行の経験はそれまで一度しかなく、それも家族で一週間ハワイに行ったことがあるだけだったので、一人で2ヶ月も海外を旅するというのはかなりのハードルでした。それでも行ってみたいという思いに突き動かされ、僕は格安航空券を購入し、成田からオーストラリアへと旅立ちました。自転車、テント、寝袋、いくつかの身の回り品、そしてバイトで貯めた自分の全財産と帰りのための格安航空券。これだけが僕の旅のお伴でした。横断の間には、それはもういろんなことがありました。全部書き起こしたらノート数冊分になるでしょう。大変な場面もあったけれど、一度も途中で止めて帰ろうとは思いませんでした。「最悪いつでもこれさえあれば帰れる」とお守りのように持っていた帰りのための格安航空券も、途中からあまり気にしなくなっていたくらいです。横断を達成し、シドニーにたどり着いたときは、達成感と同時になんだか寂しいとさえ感じました。いい思い出です。